果てしなき情熱


服部良一の楽曲が全編を彩る昭和歌謡映画の秀作。 オーソドックスな物語の中で、音楽や場面の対比を使った心象表現などの実験的演出や、市川崑らしい構図なども確認できる作品。
脚本の『和田夏十』は、当時の市川崑と由美子夫人との共同ペンネームで、後に由美子夫人の単独ペンネームとなった。

STORY
高鳴る情熱のヴギィ 恋にむせぶブルース! 七彩に飾られた歌の花束
汚いアパートの一室で三木(堀雄二)が自殺を図る。寸でのところを給仕・しん(月丘千秋)に止められた彼は、死を選ぶに至った半生を回想するのだった。三木は終戦で大陸から引き上げてきた売れない作曲家で、才能を認められないことを悲観し、酒浸りの日々を過ごしていた。そんな彼を歌手の福子(笠置シヅ子)としんが、やさしく見守っていた。しかし三木の心は、偶然出会いながらお互い名さえ告げぬまま別れた女・優子(折原啓子)にあった。献身的なしんの真心にふれた三木は、優子への想いを”湖畔の宿”のメロディーに封印し、しんとの結婚を決意するが。


初公開 1949年/収録分数:91分

監督:市川崑「犬神家の一族」「黒い十人の女」
製作:井内久/脚本:和田夏十/撮影:小原譲治/美術:小川一男/音楽:服部良一
挿入歌『雨のブルース』『夜のプラットホーム』『蘇州夜曲』『私のトランペット』『湖畔の宿』『セコハン娘』『ブギウギ娘』

<出演>
堀雄二「三百六十五夜」「点と線」
月丘千秋「肉体の門」「人間模様」
笠置シヅ子「銀座カンカン娘」 「醉いどれ天使」
折原啓子「チャッカリ夫人とウッカリ夫人」「歌姫都へ行く」
清川虹子、江見俊太郎、斎藤達雄、鮎川渉、他
特別出演:山口淑子(美しき歌手)、淡谷のり子(ブルースを唄う女)

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