人間模様


王道の恋愛作品で在りながら、随所に挿入される短いカットや、クローズアップなどが”市川崑演出”を感じさせる。
印象的に流れる古賀メロディーも、上原謙、山口淑子(李香蘭)の好演を彩っている。
脚本の『和田夏十』は、当時の市川崑と由美子夫人との共同ペンネームで、後に由美子夫人の単独ペンネームとなった。

STORY
愛するものと愛されるもの 喜びと愁い 哀歓の人間模様
学友の小松原(青山五郎)と十年ぶりに再会した絹彦(上原謙)。絹彦は、お人好しで浮世離れした性格を心配する周囲を余所に平穏な日々を過ごしていた。小松原は実業家として成功し、金儲けの天才と呼ばれていた。自身の秘書・吟子(山口淑子)を愛していたが、その吟子は、戦中の大陸で騙された男(伊藤雄之助)につけ回されて苦しんでいる。絹彦の幼馴染・沙丘子(月丘千秋)は、生ぬるく生活力のない絹彦をどうしても好きになれず、彼から聞いた小松原に興味を抱く。 絹彦の見返りを求めない行動に接して心を惹かれていく吟子。その吟子に求婚する小松原。自分の生き方と小松原への愛に悩む沙丘子。そんな中、絹彦の母が急死したことで、交錯する四人の想いは、昏迷を深めてゆく。


初公開 1949年/収録分数:89分

監督:市川崑「犬神家の一族」「黒い十人の女」
製作:児井英生/原作:丹羽文雄/脚色:山下與志一、和田夏十/撮影:小原譲治/美術:河野鷹思/音楽: 仁木他喜雄
主題歌『人間模様』 作詞:西條八十/作曲:古賀政男/唄:霧島昇
   『夜のひなげし』 作詞:西條八十/作曲:古賀政男/唄:二葉あき子

<出演>
上原謙「愛染かつら」「三百六十五夜」
山口淑子「醜聞」「支那の夜」
月丘千秋「肉体の門」「果てしなき情熱」
青山五郎「影を慕いて」「愛染草」
江見俊太郎、東山千栄子、斎藤達雄、伊藤雄之助、他

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